「わたしのマンスリー日記」第24回 ヘルパー・ネーミング大作戦

【パソコンの神ヘルパー】

 療養生活が始まる前、ヘルパーさんの業務は看護師同様、食事介助、トイレ介助、痰の吸引、投薬の他、清拭などの身体的ケアに限られると思い込んでいました。それは至極当たり前の思惑でした。ごく一般の利用者さんを想定すればそういうことになるのでしょう。
 ところが、私の場合はいささか事情を異にしていたようです。私の場合、起きている時間帯の大半は「伝の心」という特殊なパソコンで原稿を打っているのです。療養生活というよりも現役の執筆生活なのです。こんな生活を送っているALS患者は私以外にはいないと思います。
 2019年5月にALSを宣告されてから今までに上梓した本は9冊。今は10冊目に取り組んでいます。この数字は手足が全く動かず発声もできないALS患者としては異例のことと言っていいでしょう。
 実はこのような執筆活動を続けてこられたのは、その裏にヘルパーさんたちの献身的なアシストがあったからこそでした。執筆活動は100パーセント「伝の心」に頼っていますので、それをセッティングしてもらわなければなりません。必要な文献を書架から取り出すのも、必要なページを開くのも全てヘルパーさんの手を煩わせることになります。加えて私が発声できないために、意思疎通を図るには想像を超える手間暇がかかるのです。
 そんな私の要求を快くヘルパーさんたちは受け入れて、アシスト役を果たしてくれています。これは私にとっては、1,000パーセント嬉しい誤算でした。
 そんな中、最大の貢献として感謝しているのはパソコン「伝の心」へのアシストです。私はALSで倒れる以前から原稿の執筆や講演用のスライドの作成などの最低限度の操作はできましたが、それ以上の高度の操作になると完全にお手上げ状態でした。
 そんな状況を救ってくれたのもヘルパーさんでした。2年ほど前からお世話になっている女性ヘルパーの小泉さんはまさに神様的存在! 「パソコンの神」と呼んでいます。「できる人」というのはこういう人のことを言うのだろうなといつも思っています。
 私にとって難題であっても、すぐ解決策を教えてくれるので、さして負担をかけているわけではありません。小泉さんのお陰で私のパソコン能力は相当なレベルまでアップしたと自負しています。小泉さんのアシストがなかったら現在の私は存在していませんでした。感謝あるのみです。
 小泉さんに続くパソコンの神が現れました。前に述べた倉知さんと同僚の椎名さんです。倉知さんも椎名さんもパソコン強いですねと言ったら、「世代ですよ」と言われました。笑うしかありませんでした(笑)。
 いずれにしてもこれらのヘルパーさんたちのアシストのお陰で、私の執筆活動は続けられています。

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